From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
やっとK君とマンツーマンで話ができた僕は、K君のこれまでの体験談と現実を知ることができました。
もう一度要点をまとめると、
①K君はこのスクールに19年間通っている
②19年の間にゲットした演技の仕事は、小さい頃にドラマの子役と、大人になってからはエキストラのみ。
③K君の周りの長く通っている人達も、特に今までテレビや映画に出たことがあるわけではない。
という3点です。
最上級クラスに行っても、スクールに何年間通っても、芸能界デビューできない・・・
それが現実だということが、K君の言葉からハッキリしました。
実は僕は、このことに薄々気付いていました。
ただ、何となく現実を知りたくなくて、でも気になって仕方なくて、それでK君から真実を聞き出そうとしました。
そして真実を知った今、僕の心は大きく揺れ動きました。
「分かっていたことだけど、改めて言われると心が乱れる」
ということは、よくあると思います。たとえば、
「最近、なんとなくお腹が出てきたな・・・」
「最近、髪が薄くなってきたような気がする・・・」
と思っている時に周りの人達から、
「あれ?最近太った?」
「あれ?ちょっとハゲてきたんじゃない?」
なんて言われたら、カチン!と来ますよね?
分かっちゃいるけど、人から言われなくないよ!
みたいな感じです。
K君から真実を聞き出した時の僕は、まさにこの心境でした。
「自分には才能がないのか?」
「スクール選びを間違えたか?」
「どんなにガンバっても、人生は変わらないのか?」
そんなモヤモヤした疑問に、K君が明快な答え(本当は知りたくない答え)をくれたような気分でした。
K君の「取り巻き」との合流
僕が内心ヘコんだ状態でK君と話ながら帰っていると、道の途中でいつもの「取り巻きの人達」が合流してきました。
僕のことはクラスメイトとして覚えてくれているらしく、気さくな感じで「お疲れ様で~す!」と声をかけてきてくれました。
そう、彼らはとても愛想が良いのです。悪い人達ではないのです。
ただ、僕自身が感じている不安(このまま何も人生が変わらないのではないか?)を、彼らに見せられているような気がして、僕が勝手にイライラしていたのです。
でも、今の僕はもう「ノックアウトされる寸前状態」でした。
自信をすっかり失って、やけくそな心理状態でした。
そこで、とりあえず振り切って明るく振る舞いました。
今までクラスの外ではほとんどしゃべったことがないこのグループと一緒に駅まで歩いて帰りました。
スクールは駅からけっこう離れていて、歩く時間が長いので、色々と話せました。
僕は自分の両側を歩いている2人のメンバー(アラサー女性&アラサー男性)に話しかけました。
僕:「スクールにはどのぐらい通っているんですか?」
アラサー男性:「そうだなぁ~えーと、1、2、3、4・・・5年・・・もう5年経つな。あーヤバいよ~俺!(笑)もうそんな通ってんだぁ~」
アラサー女性:「ちょっと待って~じゃあ私もそのぐらいじゃない?だって入った時期はそんなに変わらないでしょ?」
アラサー男性:「そうだね。たしか俺のちょっと後に入ってきたよね。」
アラサー女性:「やだ~もう!あの頃とは肌のハリが違うわ!(笑)」
こんなノリで会話が進みました。
何のために?
僕は表は明るく振る舞いながらも、内心はやけくそになっていたので、思いきって聞いてみました。
僕:「お二人は、いつまでに芸能界デビューしたいとか目標はあるんですか?」
アラサー男性:「まあ、そりゃ明日にでもデビューしたいよ!」
アラサー女性:「ムリムリ!先にデビューするのは私よ!」
アラサー男性:「なにぃ~(笑)」
僕はコントのような掛け合いを聞きながら、いつもこのメンバー同士が仲が良い理由が何となく分かってきました。
・・・つづく。
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