From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
いよいよ、スクール主催の舞台が始まりました。
幕が上がり切って拍手が止むと、舞台袖から役者さんたちが大きな声でセリフを話しながら出てきました。
役者さんたちの着ている服装は、いかにも舞台用といった感じの派手な衣装でした。
1人はピーターパンのような雰囲気の衣装を着ています。
どうやらこれは、西洋劇のようです。
僕とT君は何の下調べもせず、何の知識もないまま見に来てしまったので、どんな演目か?ストーリーがまったく分かっていませんでした。
僕はもともと劇を見に行ったこともなく、これまでずっと興味もなかったので、劇でよく使われるような有名な演目もまったく知りません。
ただ、ステージに立つ人達の衣装や話し方を見ながら、
「テレビや映画とは確かに雰囲気がまったく違うな~」
と思いました。
全力の演技の迫力
このステージに立つ人達は、僕らが受けている普段の演技レッスンに加えて、このステージ用に稽古を積んできた人達です。
僕とT君がいつも一緒に同じ演技クラスでやっている
「長年在籍しているけど芽が出ない、レッスンに来るだけが目的になっている先輩たち」
とは気合いが違います。
ステージ上の役者さんたちの演技は、すごい迫力でした。
おそらく胸元にピンマイクなどは付けていません。
生声だけで一番後ろの席のお客さんまでセリフが聞こえるように話さなければなりません。
前から3列目にいる僕らには、声や表情が圧倒的な迫力に感じられました。
僕とT君は、コソコソ小声で感想を言い合いました。
僕:「おぉ!これが!!舞台の演技か!すごい迫力だ!」
T君:「これは、ヒゲ先生のクラスでやった内容がモロ生きてくる世界だな。」
僕:「たしかに!ヒゲ先生の音読クラス受けた人達かもね。」
T君:「ヒゲ先生のレッスンは、わざと大げさにやらされていると思ったけど、舞台だったらこれが普通なんだな。」
僕:「うん。むしろそれ以上のパワーを出し続ける必要があるな。」
「舞台の演技」と「テレビ&映画の演技」の違い
僕は舞台を見ながら、色々な情報を収集していました。
初めて見る舞台に圧倒されて、ストーリーはまったく頭に入ってきませんでした。
でも、僕らの目的は演劇を楽しむことではありません。
「自分がこの世界で生きていきたいのか?」
を自分に問うために、舞台の雰囲気を肌で感じるために来たのです。
その視点で見ていると、色んなことが分かりました。
テレビタレントがドラマの中で見せる演技と、舞台の上で行われている演技は、明らかに違うことが分かりました。
①舞台の演技では、テレビドラマの演技よりもずっと大きなボリュームで声を出す。
②舞台の演技では、顔の表情は分かりやすく大げさに表現する必要がある。
③舞台の衣装は、現実味のあるものよりも、非日常感のある派手な色使いやデザインになっている(カテゴリーにもよるとは思うが)
この3つをまとめてひと言で表すと、
「舞台はすべてを大げさにする必要がある」
だと感じました。
声のボリュームを大きくして、衣装を派手にして、顔の表情も大きくする必要があります。
そうしないと、一番後ろの席のお客さんまで伝わらないのでしょう。
テレビや映画だったら、カメラが役者さんに近づいて、音声さんが役者さんの頭上で声を広ってくれるので、派手に演じる必要はありません。
オーバーな演技は、むしろマイナスに働く可能性があります。
舞台よりも微妙な声のトーンや表情の変化が要求されそうです。
失敗が許されない環境
テレビでは、よくドラマ撮影中の「NGシーン」が流されます。
NGシーンだけを特集した番組もあるぐらい、ネタになっています。
でも、生の舞台上ではセリフを言い間違えたり忘れても、やり直しがききません。
僕は今回の舞台を見ていて、それがスゴいと思いました。
もし、演技の最中にセリフが飛んで頭の中が真っ白になってしまったら・・・
どうするんだろう?
それって、めっちゃ恐い!!
そう思って、ドキドキしながら舞台を見ていました。
でも、舞台上でセリフが飛んで動けなくなる人は1人もいませんでした。
多少セリフを噛んで言い直しているように見える場面はありましたが、それが演技の一部なのか?本当に言い間違えたのか?は、僕ら観客にはよく分からないレベルでした。
セリフが飛ぶのを防ぐためには、テレビドラマの台本を覚える時以上に、しっかり稽古を積む必要がありそうです。
僕は舞台を見ながら、「これをやるのは本当に大変だ!!」としみじみ感じました。
・・・つづく。
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