From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
東京宝映テレビのタレントスクールに入学した僕は、週に1回、毎週日曜日に東京のレッスン場へ通うようになりました。
クラスには色んな年代の人たちがいましたが、一番多いのは僕と同年代の20才前後の人たちでした。
同じ夢を持った同年代の仲間達と一緒にいるのは、とても楽しい気分でした。
クラス内は人数が40人以上いましたが、全体的に和気あいあいとした雰囲気で、先生もそれほど厳しくはなく、居心地が良く感じました。
今後の流れはこんな感じになると先生から説明されました。
①最初の3ヶ月は演技のレッスン週1回2時間のみ。
↓↓↓
②4ヶ月目からは、演技レッスン2時間+実技訓練2時間(ダンス・日本舞踊・歌・パントマイムなど)
・希望者は、②に加えてもう一日、自分の進みたい方向の専門レッスンを受けられる。(モデル、歌手、声優希望者)
・夏休みや冬休みなどの長期の休み期間は、数日間に渡って行われる「集中ゼミ」が何種類か開かれる。自分の進みたい専門分野のゼミを選んで受けられる。
というものでした。特に、集中ゼミには、「アクション俳優養成コース」があったので、僕は「絶対にこれを受ける!」と決めていました。
「ゼミ」の語源
ところで、ちょっと話がそれますが、「ゼミ」という言葉は、実は英語ではありません。
ドイツ語です。ドイツ語の「ゼミナール」の最初の部分だけを取って短く呼んでいるのが「ゼミ」です。
ゼミの英語版は、なんと「seminar(セミナー)」です。
ジーニアスの英和辞典で「seminar」を検索すると、意味に「ゼミナール」と出てきます。
不思議です。日本語では、「セミナー」と「ゼミ」は使い分けられているように思えます。
ゼミは、大学などで自分が興味のある専門分野を研究するイメージがあります。(僕は大学に行っていないので、ゼミの実体験はありませんが)
一方、セミナーは社会人が仕事分野のスキルや知識をを高めるために受けるイメージがあります。
本来は同じ意味を持つ言葉を、ドイツ語と英語で発音を使い分けて、違う意味を持たせてしまうのは、日本の文化の面白いところですね!
演技レッスンの内容
話をタレントスクールに戻します。どんなコースを受けるにしても、必ず演技のレッスンの受講は必須でした。
それほど、どの分野においても演技スキルが大事だという証拠でしょう。
「モデルにも、歌手にも、演技力が必要なんです。だから、みんな最初は演技のレッスンに真剣に取り組んでください。」
と先生が言いました。
僕が最初の3ヶ月間で受けた訓練内容は、この3種類でした。
①先生の合図と同時に急に泣いたり笑ったりする、「感情コントロール訓練」
②舞台上でよく通る大きな声を出せるようにするための呼吸法や発声法
③日本語の滑舌とイントネーションの訓練
それぞれの体験談をお伝えします。
①先生の合図と同時に急に泣いたり笑ったりする、「感情コントロール訓練」
これが一番「演技らしい訓練」でした。40人以上いるクラスメイトたちが、教室の壁にそって座っています。
その真ん中の空間に、イスがひとつだけポツンと置かれています。
そこに、ひとりずつ出て行って座ります。
そこで先生が、「どんな感情を出すか?」を指示します。
持ち時間は2分間です。
先生が、「笑って!はい!」
と合図したら、その場で2分間笑い続けなければなりません。
先生が、「泣いて!はい!」
と合図したら、その場で2分間泣き続けなければなりません。
これは、かなりキツいトレーニングでした。
僕らは初心者なので、先生が少し手加減して、
「男性メンバーには男性が出しやすい感情」
「女性メンバーには女性が出しやすい感情」
を指定してくれました。
男性は「怒り」「笑い」の感情を指定されました。
女性は「悲しみ」「泣き」「恐怖」などの感情を指定されました。
それでも、かなりキツいです!
・・・つづく。
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