From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「ジャパンアクションクラブ」という団体のオーディションを受けた時のストーリーの続きです。
先輩3人の丁寧な指導の元で5回ほどアクションの立ち回りを練習した後、いよいよ本番になりました。
面接官のボスの前で「本気のスピードでの立ち回り」を演じるのです。
さっき練習した通りの動きを、フルパワーのスピードでやります。
ボスが大きな声で叫びました。
「アクション!!」
すると、少林寺風の坊主頭の先輩たちが、ものすごい大きな声を出して、僕に襲いかかってきました。
先輩①「おらぁ~!!」
※パンチで襲いかかる(フリ)
僕:「ハッ!!」
※キックを腹に入れる(フリ)
先輩①:「うぉ~!!」
※後ろに跳びながら、倒れていく
先輩②:「でや~!!」
※上段蹴りを放つ
僕:「トゥ!」
※しゃがんでかわした後、右ストレートパンチを入れる(フリ)
先輩②:「ぬぉ~!!」
※ものすごい遠くまで飛んでいく
先輩③:「どりゃ~!!」
※右パンチで襲いかかる
僕:「オラ!!」
※ブロックして、右フックを顔に入れる(フリ)
先輩③:「うぉ~!!」
※身体を大きくひねらせながら、床に倒れ込む
味わったことのない快感!
「はい!カット!!」
ボスの声が会場内に響き渡りました。
僕は、先輩たちの「本気のやられ方」のスゴさに、あっけにとられていました。
同時に、今まで味わったことのないほどの快感を感じていました。
子供の頃の憧れたジャッキー・チェンの映画の世界が、目の前で展開しているような感覚でした。
しかも、倒しているのは自分なのです!!
自分よりもはるかに身体が大きくて強そうな3人の先輩を、自分ひとりで倒す感覚・・・
それは、男なら誰でも本能として持っている「ヒーローになりたい願望」を満たしてくれました。
ヒーロー願望
ところで、この「ヒーロー願望」は、大手英会話スクールや英語教材の広告などでもよく使われています。
たとえば・・・
・ビシッとスーツを着こなした日本人男性が、外国人のクライアント達に囲まれて、固い握手を交わしているシーン。
・「トップ3%の栄光を、その手に」というキャッチフレーズで、ピラミッドの頂点に光り輝く図が描かれたTOEIC900点突破用教材。
これらは、僕らの中にある「ヒーロー願望」を刺激してきます。
特に、男性脳はこういった「社会での活躍」や「競争での勝利」「周囲からの評価」に快感を感じやすくできています。
英語を学びたい理由も、男性はそういった動機が多いです。
逆に女性脳は、「身近な人間関係」や「自分自身を満たすこと」に快感を感じるようにできています。
英語を学びたい理由も、「外国人のお友達と仲良くおしゃべりしたい」「外国人のパートナーが欲しい」「趣味として英語学習そのものを楽しみたい」といった声を多く聞きます。
オーディションの最終審査
話を僕のオーディションに戻します。
実技試験を終えた僕は、これまで味わったことのないような満足感に包まれていました。
わずか数十秒の出来事とは言え、自分が格闘技(正確にはアクション用の技)を使って、3人の大男を倒すシーンを演じられました。
憧れのジャッキー・チェンになったような気分を味わうことができたのです。
僕は幸せの余韻に浸っていました。
あぁ・・・これを仕事にすることができたら・・・どんなに幸せだろう・・・
でも、今まで「やられる側」の練習をしたことはあまりなかったな。
柔道がまず最初に受身の練習から入るように、ここの練習生になったら、まずはやられるリアクションから練習することになるのかな?
う~ん、やられる技術は自信がないなぁ・・・でもまあ、そうやって下積みを繰り返した先に、自分が主役として活躍できるステージがあるんだろうな。
そんなことを考えていたら、面接官のボスが口を開きました。
・・・つづく。
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