【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編79】

From  師範代Shinya(新村真也)

(→前回のつづき)

※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。

恐怖で始まったヒゲ先生のレッスンは、いつの間にか「やりがいのある楽しいレッスン」に変わっていきました。

僕ら生徒の姿勢が変わるにつれて、ヒゲ先生の態度も変わっていきました。

最初の頃のヒゲ先生は、常にキレて怒鳴って僕らに恐怖を与えていました。

でも、僕らが全力で練習してきて全力で発表するようになると、ヒゲ先生は怒鳴ることをほとんどしなくなりました。

代わりに、適切なフィードバックを普通の声のトーンで話してくれるようになりました。

顔の表情も柔らかくなりました。

「昔とがってツンツンしていた人が、年齢を重ねて丸くなる」

という現象はよくありますが、ヒゲ先生の場合は1~2ヶ月で変わったので、年齢的なものではなさそうです。

明らかに「キャラをコントロールしていた」としか思えません。ヒゲ先生はプロの役者です。

やろうと思えばどんな性格のキャラも演じられるし、そのキャラを「素の性格」だと僕らに信じ込ませることもできるはずです。

僕はヒゲ先生の変わりっぷりを見て、

「やっぱり最初の頃に大声で怒鳴ったり机を叩いたりしたのは演技だったんだな。俺たちに全力を出させる環境を作るためにそういうキャラを演じて、本気度が低い生徒たちを教室から追い出してくれたんだな。」

と思いました。

そこまでエネルギーをかけて環境を整えてくれたヒゲ先生は、「僕らに演技を教えることに本気」なんだということに気付きました。

 

仲間ができた!

最初は40人以上いたクラスメイトも、ヒゲ先生のレッスンに耐えられずにだんだんドロップアウトしていって、最終的にはたったの12人になっていました。

本気度の高い12人の生徒だけが残ったことで、クラスの中に不思議なつながりを感じるようになりました。

これまで僕は、あまりクラスメイトとつるまないようにしていました。

ここに残っている他のクラスメイトたちも、割と今まで「一匹狼」的にふるまってきた人達でした。

でも、そんな一匹狼たちの間に結束感が生まれてきたのです。

 

都会組 VS 遠方地方組

僕はこれまで、スクールに来るたびに「俺はここに友達を作りに来ているんじゃないんだ!」と自分に言い聞かせて、できるだけクラスメイトと接しないようにしてきました。

東京都内や東京近郊に住んでいる「都会組」は、スクールにラクに通えるせいか本気度が低くてチャラい人の比率が高い印象でした。

一方、地方に住んでいて高い交通費と多くの時間をかけて通ってきている「遠方地方組」の人達は、本気度が高い人が多い印象でした。

静岡から通っている僕はまだ近い方で、中には青森から夜行バスで8時間かけて東京に通ってきている人もいました。

「遠方地方組」と「都会組」は水と油のような感じでした。

一方で、「遠方地方組」同士は仲良かったかといえば、そうでもありません。

「芸能界は競争社会だ!クラスメイトはライバルだ!仲良くしちゃダメだ!」

というような雰囲気があったので、本気度が高い人ほど、クラスメイトをライバル視していました。

でも、ヒゲ先生のクラスではまず「水と油」が分けられました。

そして、残った「こってり油」の人達同士で切磋琢磨し合う環境が生まれました。

クラスメイトが本気で演技している姿を見ると、自分も大きな刺激を受けます。

特に自分と同い年ぐらいの仲間がスゴい演技をすると、「よーし!俺も頑張ろう!」と刺激を受けました。

刺激をくれた人には、クラスの前後の時間で色々聞いてみたくなりました。

「ふだんどんな練習をしているの?」

「これまで演技の経験はあったの?」

などなど。

そういう会話をすることが、自分たちにとって良くないことだとは思えませんでした。

「お互いを蹴落とそうとする姿勢」よりも、「一緒に高みを目指して行く姿勢」の方が良いような気がしてきました。

だんだんクラスの前後で声をかけ合うことが増えていき、横のつながりが強くなっていきました。

そして僕はここで、その後何年も続く大切な友人2人に出会うことができました。

・・・つづく。

 

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