【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編83】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
前回の記事では、同じクラスメイトのT君とSさんと友達になったことで、2人の持つ悩みが僕と同じだったことをお伝えしました。
 
 
「演技を見る側」と「演じる側」には、心理的に大きな開きがあります。
 
 
これはスポーツなどの世界でも同じでしょう。
 
 
毎日本気で野球を練習している人は、プロ野球選手の試合をテレビで見た時、
 
 
「あいつの投げ方はダメだ!」
 
とか、
 
「もうバテてるのか?もっとガンバッて走らんかい!」
 
 
みたいなことは口にしないと思います。
 
 
野球をプレイするツラさや難しさ、楽しさをよく知っている人は、プロ野球選手の弱点を気軽に批判する気にはなれないでしょう。
 
 
同じことが演技にも言えます。一度演技を本気で学ぶと、テレビで演技や歌がイマイチなアイドルや
タレントを見ても、気軽に批判する気にはなれなくなってきます。
 
 
でも、これまでの人間関係の中でうまくやっていこうと思ったら、そんな自分の中の価値観の変化を隠さなければなりません。
 
 
たとえば友達や会社の同僚が昼休みに、
 
 
「昨日のドラマの○○役の○○の演技、ヘタだったよな!」
 
 
と言ってきたのに対して、
 
 
「何言ってるんだ!○○だって必死に台本読み込んでガンバってるんだよ!しかも、ああいうドラマの撮影は夜中までかかることが多いから、体力的にもキツいんだよ!芸の世界がどれだけ大変か分からないくせに!」
 
 
なんて返したら、人間関係が壊れてしまいます。
 
 
かといって、
 
 
「そうだよな、○○の演技はヒドいな!」
 
 
と表面上で同意することを言えば、自分の心が死んでいくようなイヤな感覚がジワッと広がります。
 
 
そんなことを続けていたら、演技を学ぶ前の元の自分に戻ってしまいそうな気分になります。
 
 
この中間の対応策としては、怒りをぶちまけるのではなく、思っていることを冷静に伝えながら、
 
 
「俺は今、真剣に演技を学んでいて、今テレビで活躍している先輩の役者を批判する気にはなれないんだ。ゴメン。」
 
 
と言うこともできるでしょう。
 
 
でも、実はこの話題を出すこと自体がリスクでもあります。
 
 
 

よくあるリアクション

たとえば、僕がこのセリフ言った場合、聞いた友達からこんなリアクションが返ってくるかも知れません。
 
 
「へぇ~そうなんだ。けっこう本気で芸能界に進もうと思ってるんだね。芸能界って競争が厳しいんじゃない?」
 
 
「今どのぐらいスクールに通っているんだっけ?芽が出そうなの?」
 
 
「現実はそんなに甘くないと思うけどな~。」
 
 
「演技スクールの月謝っていくらなの?え?そんなに高いの?おまえ大丈夫か?ダマされてるんじゃない?」
 
 
多くの場合、芸能界を目指したことがない人のリアクションはこんな感じです。
 
 
これは芸能界に限らず、スポーツや起業などのジャンルでも同じだと思います。
 
 
芸能界を目指すのも、プロスポーツ選手になるのも、起業して自分のビジネスを立ち上げるのも、少数派の人達です。自分が少数派になろうとすると、周りから
 
 
「競争が厳しい世界だろ?」
 
 
「いつ芽が出るの?」
 
 
「現実は甘くないぞ」
 
 
こんな言葉がよく飛んできます。
 
 
そして、これらのセリフを言う人達はほとんどの場合、「そのジャンルを経験したことのない人達」です。
 
 
もちろん、その人達は悪気があって言っているわけではありません。心配して言っている場合が大半です。
 
 
それに何より、自分の身近な人が変化しようとしているのを見て、無意識に不安を感じているだけなのです。
 
人間の脳は変化を嫌うようにインプットされているのです。
 
 
また、未経験者に対してこちらが本気になって反論しても、得るものはありません。
 
 

八方ふさがり

人と戦うのには大きなエネルギーがいります。
 
 
たとえ言い争いに勝って相手を説き伏せたとしても、そこに注いだエネルギーが演技に役立つとは思えません。
 
 
・戦えば消耗する
 
・周りに同調して無難に過ごそうとするのもツラい
 
・自分の本心を打ち明ければ「現実は甘くないぞ」と言われる
 
 
あ~どうすればいいんだーーー!!
 
 
八方ふさがりじゃないかーーー!!
 
 
僕とT君とSさんの3人は、演技に対して真剣だっただけに、同じような悩みを日常生活で味わっていました。
 
特にSさんは一番身近な存在であるパートナー(彼氏)が、Sさんがこの道に進むことを良く思っていなかっただけに、日常的に批判されてツラそうでした。
 
 
・・・つづく。
 
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