From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
僕が23才の頃、服飾系の会社へ転職するために「カラーコーディネーター」の資格を取ることにした話の続きです。
初日の授業はとても楽しいものになりました。
一番最初に先生が「色を学ぶことで得られる日常的なメリット」について話してくれたため、僕ら受講生のモチベーションがグッと上がりました。
その状態でテキストの1ページ目を開きました。
一番最初に載っていた項目は、「虹の七色」の話でした。
昔、物理学者のニュートンが暗い箱の中にプリズム(ガラスの3角柱)を通して太陽の光を入れる実験しました。
そこで虹の七色を発見した、みたいな話が出てきました。
赤、だいだい、黄、緑、青、藍、紫
が虹の七色で、赤の前には赤外線、紫の後には紫外線がある。
赤は波長が長く、紫は波長が短い。
みたいなことが書いてありました。いかにもお勉強チックで退屈な内容です。(僕にとっては)
でも、ここでも先生がうまくフォローしていました。
赤いスポーツカーVSネイビーのセダン
先生:「昼間に道路を走っている車の中で、鮮やかな赤のスポーツカーと、ネイビーのセダン、どっちが目を引かれますか?」
先生:「赤いスポーツカーだと思う人は手を上げてください。」
そりゃ赤でしょ!と思い、僕は手を上げました。
みんなの手も上がりました。
先生:「赤が多いようですね。じゃあ、日が暮れて暗くなってきた場合はどうでしょう?赤いスポーツカーとネイビーのセダン、どっちが目につくと思いますか?」
え?赤じゃないの?ネイビーはそもそも暗いし・・・たぶん赤だ!
先生:「赤だと思う人は手を上げてください。」
みんなの手が上がりました。
先生:「そう思いますよね。でも実は、赤は薄暗くなると見えなくなってしまうんです。夕方になると、赤はほとんど黒と同じ色になります。」
えーーー!そうなの??なぜ??
虹の七色の秘密
先生:「さきほどの虹の七色がありましたよね?赤から紫までの色の順番は決まっています。
それぞれ違う色の車を七台、虹の七色の順番で並べたところを想像してください。
赤、だいだい、黄、緑、青、藍、紫
です。
日が落ちて暗くなっていった場合、赤い車が一番早く見えなくなります。正確に言うと私達の目には赤の色が認識できなくなって、黒く見えます。そして最後まで色としてハッキリ見えるのは、最後の紫なんです。」
僕の心の声:(へぇ~!そうなのか!でも、なぜ??なんとなく赤の方が明るくて最後まで見えそうなのに・・・)
先生:「なぜ?って思いますよね。これは実は、波長と呼ばれるものが関係しているんです。
モノに光が反射して、人間の目は色を認識します。光には波長があります。波長が長いと、光の量が減った時に目に見えづらくなります。波長が短いと、光の量が減っても同じように見え続けます。
つまり、夕方に赤いスポーツカーの色が黒になってしまうのは、赤色の波長が長いからです。そして、ネイビーのセダンは波長が短いので、薄暗い中でもネイビーだと認識できます。」
僕の心の声:(へぇ~そういうものなのか!でも、本当かなぁ??)
先生:「本当ですよ。良かったら今日の帰り道、道路を走っている車を観察してみてください。」
先生の例え方は、とても上手でした。
この話を聞いたせいで、僕はその後ずっと赤いスポーツカーを見る度に「夕方には目立たなくなるぞ!なぜなら波長が長いからだ!」とつぶやくようになりました。
ちなみに、本当に赤い車は夕方になると見えづらくなりました。
他の車のヘッドライトの光が当たっている時にはちゃんと赤に見えるのですが、薄暗いゾーンに入ると、ただの黒にしか見えませんでした。
対してネイビーの車は、薄暗くても明らかに黒とは違うことが認識できました。
これによって僕の頭の中には、「長波長と短波長」という言葉が何度も刻まれました。
日常に置き換えると記憶に残る
もし、テキストに書いてある「虹の七色の赤側は長波長で、紫側は短波長です。」というフレーズを読んだだけだったら、単なる丸暗記になってしまい、時間と共に確実に忘れていたでしょう。
そして、実際にテストで出てきた頃には、「あれ?どっちが長波長でどっちが短波長だっけ?」と混乱していたに違いありません。
でも、先生が「車の色」という日常の例に置き換えてくれたので、記憶に残りました。
これは後から知ったのですが、先生はカラーコーディネーターとして長年第一線で活躍する経験をしつつ、今は後進の育成をメインでやっている人でした。
プロのカラーコーディネーターを育成するセミナーを自分で開いていたのです。
その一環として、僕らのような初心者にカラーコーディネートの世界の面白さを伝えるべく「資格の大原」の講師もやっている人でした。
だから、教えるのが上手だったのです。
「今習っていることが、今後の生活のどんな場面でどう役立つのか?」
という具体例を常に入れた後に、テキストを開かせるスタイルでした。
おかげで僕は、初めて習う「色の世界」に興味を持ち続けながら学ぶことができました。
・・・つづく。
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