from 師範代Shinya
(→前回の続き)
※混乱している中学校英語スピーキングテストのニュース分析の続きです。
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英語の「話す力」なぜ必要? スピーキングテストを入試に導入する東京外国語大が「
前回までの記事では、スピーキングテストで使うタブレットやマイクなどの機材をアップグレードすることで、今の音漏れ問題を解決する方法を考えてみました。
とはいえ、予算には限りがあるのも事実です。
機材のアップグレードは、大幅にコストが上がります。
今回は、「機材をアップグレードしないで解決するパターン」を考えてみます。
現状の機材をそのまま使うのであれば、代わりに生徒たちの受験の場所とタイミングを変えるのがベストだと思います。
みんな同じ教室で隣り合って、同じタイミングで受けるという発想が、そもそもスピーキングテストに向かないのではないかと思うのです。
機材を変えずに声漏れの問題を解決するのは、受験者同士の「物理的な距離」を置くしかありません。
もし生徒全員が同じ日に同じ内容のテストを受けなければならないのであれば、1教室1人にして、各部屋に監督を付けます。
1人の所要時間が数分だと思うので、各教室で順番に受ければ1日数百人ぐらいはいけそうです。
1人がタブレットに音声を吹き込むぐらいの音量であれば、教室の外で待っている生徒にも聞こえないのではないでしょうか。
もし1つの学校の生徒に対して1つの会場では足りないのであれば、小学校や高校などの教室も貸りて、同じ日に実施すれば良いと思います。
情報漏洩の対策
時間差で同じ内容の試験を生徒たちに受けさせるリスクは、「試験の内容情報が漏れること」です。
すでに受験が終わった生徒が、まだこれから受ける生徒に対して、LINEなどで試験内容を教えてしまう可能性があります。
だからこそ、全員いっせいに受けさせる方式を取っているのでしょう。
でも、それもやり方次第では防げると思います。
情報漏洩の対策としては、
①受験生が校舎内にいる間は、全員スマホの電源を切った状態で、所定の場所にしまわせる。(監督者がチェック)
②係員が入り口で全員分のスマホを箱の中に回収する。
③そもそもスマホの持ち込みを禁止する。入り口で持ち物検査する。
という流れが考えられます。
これから受験を控えている生徒たちが全員スマホを使えない状態にできれば、試験が終わった生徒達を解放しても、情報漏洩による不正問題は起こりません。
これを実施するためには、人員を増やしたり、マニュアルを徹底したりと、労力がかかるでしょう。
でも、その労力なくして、今回の大きな改革は実現できないと思います。
実際に、英検の2次試験では、「受験者が自分のスマホを専用の透明袋に入れて、首からぶら下げて待機する」というシステムになっています。
仕組みとして実現できることの証明です。
運営のベネッセが撤退
今回の騒動で、たくさんの保護者や大学教授たちが、中学英語スピーキングテストの廃止を求めているようです。
たしかに、親の立場からしたら、一発テストで進路が決まる今の受験の仕組みだと、自分の子どもが実験台にされたら怒るのも仕方ないと思います。
たぶん、僕も自分の子どもがドンピシャで中学3年生だったら、このブログ記事で文句を書いていたかもしれません。
(だからこそ、僕は今の「一発受験システム」から先に改訂しないと、今回のスピーキングテストのような改革はやりづらいと思っています)
各方面からの苦情を受けて、スピーキングテスト運営に参加していたベネッセが、このプロジェクトから撤退することになったとニュースにありました。
きっと、苦情処理のコストと労力に対して、利益が見合わないと思ったのでしょう。
代わりに今後は、ブリテッシュ・カウンシルが運営に参加するそうです。
ブリティッシュ・カウンシルは、IELTS(アイエルツ)を運営する団体です。
IELTSは、主にヨーロッパを中心に普及している英語テストで、スピーキングテストも含まれます。
そのノウハウが活かせるかもしれません。
でも、これでうまくいって日本の英語教育の仕組みが大きく変わった場合、「日本の英語教育に革命を起こしたのは、外資系」ということになります。
今後の歴史の中にも、ずっと残ることになるでしょう。
僕は外資系に対して、悪いイメージはまったくありません。
むしろ、自分も外資系で働きたいと思っていた時期があるぐらいです。
でも、今回のスピーキングテスト運営に関しては、なんとなく心境的に「日本の民間の英語教育会社が内側から革命を起こして、学校英語教育史に名を残して欲しかったなぁ~」という気持ちはあります。
個人的には、「英検協会」にその可能性がある気がしています。
・・・つづく。
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