From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が英語学習を本格的に始める前に、初めて英語のテキストを買った時のエピソードの続きです。
「接客英会話フレーズ集」を買って、その中の「小売店で使うフレーズ」を丸暗記した僕は、米軍兵士のお客さんたちがまた自分の店に来るのを心待ちにしていました。
彼らは、いつ来るかまったく予測できません。過去2回は3~4ヶ月空きましたが、次回も必ず僕らのお店に立ち寄るとは限りません。
完璧に準備したとしても、それを使う機会があるのか?怪しい状態では、モチベーションを保つのが難しいです。
特に僕の場合、丸暗記で全フレーズを覚えているので、ぶっちゃけ「付け焼き刃」です。
時間がたつとすぐに忘れてしまいそうです。
「早く来てくれ!米軍兵士たちよ!」
と、毎日祈る気持ちで職場のジーンズショップに向かっていました。でも、内心は複雑な心境でした。
「せっかく覚えた英会話フレーズを実戦で使いたい自分」
と、
「今日も何事もなく平和に1日を過ごしたい自分」
が同居していました。
空手と同じ?!
なんとなく、この時の僕の心境は「空手を習っている中高生」と違いものがあるな、と感じました。
僕が通っていた高校は、学力が低い生徒たちが集まる学校だったので、いわゆる「ヤンキー生徒」がたくさんいました。
一応、男女共学だったのですが、なぜかクラス分けは男子クラス&女子クラスという感じで、男女でビシッと分かれていました。
1学年に1クラスだけ、男女ミックスクラスがあって、その男女ミックスクラスは割と穏やかでした。
でも、僕がいた男子だけのクラスは、かなり荒れていました。入学して最初の2週間で、「クラス内で誰が一番エラいか?」が決まりました。
決める方法は、「拳」です。素手で殴り合いのケンカをして、勝った方がエラい、という世界です。
僕のような「平和を求める穏やかタイプの生徒たち」は、自動的にその序列の中では下にランクされます。
「腕力がすべて」の世界では、「ナメられたら終わり」です。すぐに使いっ走りにさせられてしまいます。
そこで、クラスメイトたちは、あの手この手で自分がナメられないようにポジションを確保しようとします。
男子生徒達が自分の「ナメられない安全ポジションを確保する方法」は5つありました。
ナメられないための5つの方法
①自分がケンカに勝って、力を周りに知らしめる。
②格闘系の運動部に入る。(柔道部、アメフト部など)
③クラスの腕力トップの不良メンバーと仲良くなって守ってもらう。
④学校の外で武道を習う(空手道場など)
⑤地元で有名な暴走族メンバーの知り合いの先輩の名前を出して、「俺には恐いバックがついてんだぜ!」アピールをする。
僕の見てきた限り、この中で一番多かったのが、④の「俺、空手道場に通ってるんだぜアピール」でした。
これにより、「核兵器を持っている国」と同じような「抑止力」が働き、「あいつに手を出すと返り討ちにあうかもしれない」と周りに思わせることで、ケンカそのものを避けることができます。
僕のケース
ちなみに僕は②のケースで、高校1年の時に剣道部に入りました。でも、剣道というのは、けっこう微妙なポジションです。
柔道や空手と違って、分かりやすい「ケンカに使えるスキル」のイメージがありません。
実際、僕はクラスメイトの不良にからまれた時に、
「剣道部なんて、棒がなけりゃただの弱っちい奴じゃないのか?」
と言われました。僕はそれを聞いて、急いで自分の机の横にあった傘を握りしめました。
すると、その不良クラスメイトは、「チッ!」と舌を鳴らして、その場を去って行きました。
(今思い返すと、あの頃の教室はまさに「猛獣と一緒に閉じ込められた檻」みたいでした)
空手を習う
そんなことがあってからは、僕は高校2年の時に剣道部をやめて、空手を独学で始めました。
本当はクラスメイトと同じ空手道場に通って、「安全ポジション」を築きたかったのですが、僕の親は僕が子供の頃から「習い事はさせない」教育方針だったので、空手道場に通うこともできませんでした。
なので仕方なく、短期バイトで貯めたお金で空手の本とビデオを買って、独学で学び始めました。
そうすることで、いざ不良たちにからまれた時に、自分の身を守れる!と思ったのです。
でも、「使わないに越したことはない」というのが本音です。ケンカは勝っても負けても、良いことなんてほとんどないような気がしたのです。
「せっかく身につけた空手技を実戦で使いたい自分」
と、
「今日も何事もなく平和に1日を過ごしたい自分」
が同居していました。
この感覚は・・・同じだ!!
あれから10年以上たって、ジーンズショップで働きながら、
「いつまた来るか分からない米軍兵士たちに備えて英会話フレーズを丸暗記している」
今の自分の中に、高校時代と同じ感覚がハッキリとよみがえりました!
・・・つづく。
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