【英語の先生と生徒の会話:あるあるパターン①】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
英語の先生と生徒の会話で、よくあるパターンがあります。
 
それは、生徒さんのモチベーションが落ちたときに繰り広げられる会話です。
 
生徒:「先生・・・私は最近、どうも英語の勉強をやる気が起きないんです・・・」
 
先生:「大丈夫ですよ!○○さんは今まで、がんばってやってきたじゃないですか!今回も一時的なものですよ!」
 
生徒:「でも、今回はダメそうな気がするんです。」
 
先生:「大丈夫です!Nさんは、やればできる人なんだから!さっそく今日から毎日英語の勉強を30分やるぞ!って自分に言いきかせましょう!」
 
生徒:「はぁ・・・」
 
先生:「やればできる!そういうもんです!何事も、気持ちが大事なんです!」
 
生徒:「・・・」
 
これ、先生が空回りして、生徒さんの気持ちがどんどん離れていってるのがわかるでしょうか?
 
ここまで数回に渡って、あなたにピッタリ合った英語の先生を選ぶための基準になる、「4つのタイプの性格」を表す「人間関係のマトリックス」についてお伝えしてきました。
 
前回の記事では僕の体験談として、
 
左上の「ポジティブ自立」が強い相手と接したとき、僕は対角線上にある、右下の「ネガティブ依存」に飛ばされて、ヘコんで自信を失ってしまった時のお話をしました。
 
また、左下の「ネガティブ自立」が強いヤクザの人が僕のジーンズショップに来て、大声で威嚇してきたときには、僕とスタッフは全員、対角線上にある右下の「ポジティブ依存」に飛ばされて、おどおどして頭の中が真っ白になり、思考力を失ったお話をしました。
 
 

マトリックス・ダンス

この人間関係のマトリックス上で「対角線上に飛ばされる」という状態を、「マトリックスダンス」と呼びます。
 
これは、分かっていても避けることはできません。
 
ヤクザの人に怒鳴られて冷静にしていられる人なんてほとんどいないでしょう。
 
熱すぎるセミナーや本の内容に「ついていけない」と思う人は、少なくないはずです。
 
いつもおどおどして自信がなさそうにしている人(ポジティブ依存)と一緒にいると、なんとなくイライラして叱りつけたくなったり、いじめたくなる衝動(ネガティブ自立)がわき起こってきた経験がありませんか?
 
落ち込んでくよくよしている人(ネガティブ依存)を見ると、明るい笑顔とポジティブな言葉(ポジティブ自立)をかけながら、肩を叩いて励ましたくなることはないでしょうか?
 
これが、「マトリックスダンス」です。マトリックスダンスは、日常生活で僕らの間で毎日起こっています。
 
「4つの性格」は、相手によって自分の立ち位置も変わるのがふつうです。
 
そしてこれは、英語の先生と生徒の間でも起こります。僕はこれまで8年間の講師生活の中で、この「マトリックスダンス」を何度も体験してきました。
 
 

明るく励まされてもヘコむ理由

以前、こんなことがありました。
 
「最近、英語学習のモチベーションが上がらない」
 
と言って、表情が暗くなっている生徒さんがいました。
 
そこで僕は、緊急で対面の「学習カウンセリング」をしました。僕の「ホームポジション=ふだん居心地のいい場所」は、4つの性格中では「ポジティブ自立」です。
 
ポジティブ自立は、明るく元気に励ますのが得意です。ふだんはこのスタイルで生徒さんを元気づけられるのですが、今回の生徒さんは、かなり深く落ち込んでいました。
 
「自分にはできない・・・自分はダメなやつだ・・・」という思いが強くなってしまっていたのです。
 
この心理状態は「ネガティブ依存」ですが、ネガティブ依存の中でも、特に遠い右下にいました。ここでは仮に名前をNさんにします。(冒頭の会話例と同じです)
 
 
Nさん:「先生・・・私は最近、どうも英語の勉強をやる気が起きないんです・・・」
 
僕:「大丈夫ですよ!Nさんは今まで、がんばってやってきたじゃないですか!今回も一時的なものですよ!」
 
Nさん:「でも、今回はダメそうな気がするんです。」
 
僕:「大丈夫です!Nさんは、やればできる人なんだから!さっそく今日から毎日英語の勉強を30分やるぞ!って自分に言いきかせましょう!」
 
Nさん:「はぁ・・・」
 
僕:「やればできる!そういうもんです!気持ちが大事なんです!」
 
Nさん:「・・・」
 
とうとう、Nさんは黙り込んでしまいました。
 
この会話を聞いて、僕とNさんの間で何が起こっていたのか分かるでしょうか?
 
これは、僕が「強いポジティブ自立」のポジションに行ったことで、Nさんがさらに強い「ネガティブ依存」に飛ばされてしまったのです。
 

こうなったら、僕がポジティブな言葉をかければかけるほど、Nさんは逆に気持ちが落ち込んでいきます。
 
僕たちはずっと対角線上で踊り続けることになります。相手の心に近づいて、寄り添うことはできません。
 
Nさんは、「私は先生のようにはなれない・・・」と思って、僕に距離感を感じていたことでしょう。
 
実際、この後、Nさんは英会話スクールを辞めていきました。
 
僕はこのとき、まだマトリックスダンスを知らなかったので、何が起きていたのか分かりませんでした。
 
次回は、もうひとつの「英語講師と生徒の会話あるあるパターン」を見てみます。
 
 
P.S.
この「4つの性格」の考え方は、本田健さんの「人間関係のマトリックス」をベースにしています。「人間関係のマトリックス」についてもっと詳しく知りたい場合は、こちらの本をぜひお読みください。
 
「ユダヤ人大富豪の教え3」
 

ユダヤ人大富豪の教えIII ~人間関係を築く8つのレッスン (だいわ文庫)

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