from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
前回の記事では、聞き流し英語が効果を発揮する3つのレベルについてお伝えしました。
①超初心者
②文法上級者でリスニング初級者
③上級者
の3つです。
これに当てはまる日本人の大人は、そんなに多くないと思います。
①の超初心者は、英語の音にまったく慣れていない状態を指します。
でも、僕ら日本人は、一応、中学と高校で英語のリスニングはやっています。
また、街中の店内には英語の歌がBGMとして流れています。
さらに日本では、洋画を字幕で見る文化があるので、英語がまったく分からなくても、ネイティブ発音を耳にする機会は多いでしょう。
そうなると、「英語の音そのものに慣れる」という聞き流し効果は、大人の脳に大きな変化を与える確率は低いです。
何もしないよりは良いですが、劇的な変化を期待するのは現実的ではありません。
聞き流し英語は、スポーツ観戦
聞き流し英語は、スポーツ観戦と同じだと考えると、聞き流し英語の効果の範囲が良く見えてきます。
たとえば、サッカーのルールをまったく知らない人が、いきなりサッカーをプレイした場合、ボールを手でつかんでしまうかもしれません。
「サッカーって、こういうものだよ。」というのを口で説明されるよりも、映像で見せられた方が、分かりやすいです。
「へぇ~!みんな器用に足だけを使ってボールを蹴ってるな!なるほど!こうやってボールをパスするのか!」
など、一発で分かります。
でも、頭でルールややり方が分かっても、練習なしでいきなりサッカーの試合に出たら、身体は動きません。
周りのベテラン選手の動きにはついていけないでしょう。
英語も同じです。
英語の発音を聞いたことがない人に、あれこれ口で説明するよりも、いきなり英語を聞かせた方が、理解が早いです。
「へぇ~!日本語とだいぶ違う音だな。なんか滑らかでつながって聞こえる。イントネーションも激しいし。」
ということが感覚的に分かります。
でも、何度も聞き流したからと言って、急に英語の意味が理解できるようになったり、英語が口から出てくることはありません。
これが、超初心者への聞き流し英語の効果です。
英語の後に日本語が流れる教材は、「解説付きのスポーツ中継」
「英語だけを聞き流すだけだと効果がないかもしれないけど、英語の後に日本語訳が流れる音声教材は、効果があるのでは?」
と思われるかも知れません。
日本語訳も流れる音声教材は、「解説付きのスポーツ中継」と同じ効果があります。
今度はボクシングの試合に例えてみましょう。
ボクシングの試合を見たことない人が、いきなり世界タイトルマッチなどのハイレベルな試合を見た場合、ハイレベル過ぎて何が起こっているのか分からないケースが多いです。
ボクシングのルールはとてもシンプルです。
「両手のパンチだけで戦って、倒れてから10カウント数える前に立ち上がれなかったら負け。」
「どちらも最後まで倒れなかった場合は、審判数人がジャッジして、どっちが優勢だったか?で勝敗を決める。」
というルールです。
このルールが分かっていたとしても、初心者には試合観戦についていくのは大変です。
世界レベルのボクサーのパンチは速すぎて、肉眼では見えづらいからです。
片方の選手がダウンした場合、いったい何が起こったのか?よく分かりません。
そんな時のために、テレビ中継では必ず「解説者」が付きます。
・「しゃべりのプロ」のテレビ局のアナウンサー
・「ボクシングのプロ」の元世界チャンピオン
がコンビを組んで、「今、何が起こったのか?」を詳しく解説してくれます。
↓↓↓
アナウンサー:「おーー!!A選手のパンチが速い!連打でB選手を追い込む!」
解説者:「でも、B選手の防御が上手です。まだクリーンヒットはありませんね。」
観客:(そうなのか!まだ1つも当たってないのね。速すぎて見えないけど・・・)
アナウンサー:「あーーー!!攻めていたA選手が突然倒れたぁぁ!!これは、カウンターを食らったんですかね?」
解説者:「はい!今、一瞬でしたが、B選手が見事なアッパーでカウンターを打ちました。速い!」
観客:(へぇ~!今カウンターが入ったのか?全然見えなかった・・・)
アナウンサー:「では、今のシーンを別の角度からのカメラ映像でスローモーションで見てみましょう。」
スロー映像が流れる。B選手がA選手にカウンターのアッパーを入れているのが見える。
観客:「おぉーーーー!!」
(何が起こったのか分かって、このタイミングで盛り上がる)
という流れです。
これが、ボクシング中継でよくあるパターンです。
英語の聞き流し教材も同じです。
日本語解説&スロー音声
①ナチュラルスピードのネイティブ発音が流れる
↓↓↓
②日本語音声が流れる(解説)
↓↓↓
③スロー音声が流れる(確認)
という流れです。
たしかに、英語だけを聞き流すよりは理解度が上がるでしょう。
でも、実際の英会話でリアルタイムに聞き取れるようになるためには、聞き流し英語では十分なトレーニングにはなりません。
英会話は、ボクシングで言えば「リングに上がって相手と対峙すること」です。
観客席やテレビの映像とは、まったく視点が違います。
また、一度もパンチを打ったことがなければ、数発空振りしただけで、腕が痛くなってしまいます。
日ごろから心肺を鍛えてないと、スタミナも持ちません。
1ラウンドで息が上がって、ヘロヘロになってしまうでしょう。
聞き流し英語と実際の英会話は、負荷に天地の差があるのです。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
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