From 師範代Shinya(新村真也)
(最近行ってきたカリブ海クールズ10日間の旅での体験談のシェアの続きです。)
(→前回のつづき)
前回の記事では、僕が乗った飛行機の座席の表示に、
Fasten seat belt while seated.
(乗っている間はシートベルトを締めてください)
という文章があったことをお伝えしました。
これは、本来は、
Fasten your seat belt while you are seated.
というのが「正しい文法」です。
でも、英語圏の国の飛行機(アメリカン航空)でこの表現が使われているということは、「実際に日常で使われる表現」だということです。
TOEICテストの問題
僕が8年前にTOEICクラスを教え始めたとき、実はこの「while(~の間)」がよく問題に出ていました。
同じ意味を持つ「during(~の間)」との違いを問う問題がよく出たのです。
似てるけど違う
while と duging は、意味はまったく同じですが、使い方が違います。
さっきの例文で言うと、
He was sleeping while he was watching the movie.
He was sleeping during the movie.
という感じです。
意味はどちらも同じです。
「彼ったら、映画を見ている間、ずっと寝てたのよ!」
という意味です。
whileの後ろには文章を置きます。
duringの後ろには名詞を置きます。
duringを使った方が文章が短くなります。
なので、実際のネイティブの会話では、この内容を言うときには、duringの方がよく使われます。
TOEICの穴埋め問題では、
He was sleeping ( ) the movie.
という例文を見せてから、
さあ!この( )には、while と during、どっちが入るでしょう?
という問題がよく出たのです。
その違いを見極めるカギは、
「後ろに文章があるか?それとも名詞があるか?」
でした。
(この場合の正解はduringですね)
whileの新しい使い方
ところが、2年くらい前からこの定番タイプの問題に変化が起きました。
こんな例文が出てくるようになったのです!
He was sleeping ( ) watching the movie.
あれ??
後ろに文章が来ているわけでもない。
かといって、名詞が来ているわけでもない。
どっちだ?
分からーん!!
という感じで、受験者を混乱させる問題です。
迷った受験者の中で「文法ルールの知識」がある人は、こんな結論に達します。
「たしか、動詞をingにすると、動名詞とかいう名前になって、名詞扱いができるって学校で習ったぞ。
よし!ということは、このwatchingは名詞扱いすればいいから、正解はduringだ!」
みたいな感じです。
でも、実はこの問題、正解は「while」です。
duringの後ろには、純粋な名詞しか置けません。
なので、duringの後ろに動名詞を持ってくることはできません。
この文章の正体
実は、この文章は、
He was sleeping ( ) [he was] watching the movie.
がフルの長さです。
本来は、[ ]の中の he was が必要なのですが、文章の流れから明らかな時には、抜いてもOK!という新しいルールが生まれました。
これは、単に「面倒だから」という理由だと思います。
ネイティブの人たちがそういう言い方をするようになって、それがある程度の人数に広がって「一般的」と呼べる段階になったら、それが「文法ルールのスタンダード」になります。
時代の流れに合わせたテスト
そして、TOEICテストは、そういった
「時代の流れの中でスタンダードになった文法」
を敏感にキャッチして、問題文の中に織り交ぜてくるのです。
今回、僕が飛行機の中で見かけた、
Fasten seat belt while seated.
という一文は、まさにこの時代の流れを表していると言えます。
そして、僕が2年くらい前からTOEIC対策クラスで受講者の方々に伝えて続けてきた文法項目に「実戦の場」で出会えたことで、改めて、
「TOEICテストは実戦的な英語テストだ」
という確信を深めました。
・・・つづく。
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