From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が英語学習を本格的に始める前に、初めて英語のテキストを買った時のエピソードの続きです。
僕が生まれて初めて買った英語のテキスト「接客英会話フレーズ集」は、思っていたより楽しく進めることができました。
色んな接客フレーズが入っているのですが、どのフレーズも、
「あぁ、あの時はこう言えば良かったのか!」
「あの時、あの外国人はこのセリフを言っていたのか!」
という感じで、フレーズを見るたびに新しい発見がありました。
特に僕が知りたかったのは、お会計が終わって最後に店を出て行くときに、外国人のお客さんが言っていたセリフでした。
Have a nice day.
(よい1日を。)
You too!
(あなたもね!)
英語の世界には、こんなフレーズがあるのか・・・お客さんが店員さんに、こんなセリフを言う文化があるなんて・・・
なんていい文化なんだ!
日本では、店員とお客さんの間には、「上下関係」があると感じます。
それは、「お客様は神様です。」というフレーズに代表されているように思えます。(実際、この言葉を日本で最初に口にした三波春夫さんは、上下関係とはまったく関係ない意味で言ったらしいですが)
でも、欧米文化では、こんな風に店員さんとのやりとりをするのかぁ!なんだか楽しそうだな!
という気持ちになりました。
覚えるコツは「体験」
僕がこのフレーズブックを楽しみながら進められたのは、これまでに2回、「米軍兵士のお客さんたちに話しかけられて困った体験」があったらからでした。
一度でも体験していると、ひとつひとつのフレーズが、「リアルなコミュニケーションのための言葉」として頭に入ってきます。
自分がそのフレーズを使って彼らと話している姿が目に浮かぶのです。
もしもこの体験がない状態で、ただ
「英語ができるようになっておいた方がいいから」
という理由で英語を始めていたとしたら、きっとこれらの接客英語フレーズは僕の頭に入ってこなかったし、途中で飽きてやめてしまったでしょう。
僕はこの時、「体験に勝るものはないな」と感じました。
英語圏の文化への憧れ
この小さなフレーズブックを読み進めるにつれて、僕の目には英語圏の文化の特徴が少しずつ見えてきました。
英語圏では、店員さんとお客さんの間には、上下関係はまったく無く、完全にフラットな関係だということが見えてきました。
他にも気付いたことがあります。たとえば日本語で、
「申し訳ありません。」
という接客用語の英語バージョンは、
We are sorry.
と書いてありました。
I’m sorry.
ではないのです。
I’m sorry.
は個人的に謝罪している響きがしますが、
We are sorry.
は、店の代表として謝罪している感じがします。
対して、日本語の主語のない「申し訳ありません。」には、個人的に謝っているような響きがあります。
こんな違いを見ているうちに、僕は自分の中で、英語圏の文化に対する憧れが芽生えてくるのを感じました。
フレーズ丸暗記型のメリット
こういったフレーズ丸暗記型のメリットは、好きな歌の歌詞を覚えるのに似ています。
特に文法や英単語の意味が分からなくても、なんとなく、フレーズ全体をリズムで覚えてしまうことができます。
机に向かって「お勉強」する必要はないし、とりあえずこのフレーズを言えれば良いだけなので、ラクです。
そういう意味では、この頃の僕のように、
「遠回りせずにとりあえず数ヶ月後には外国人のお客さんと最低限のやりとりができるようになりたい!」
と思っている人には、フレーズ丸暗記型の本は向いていると思います。
当時の僕のような、インスタントな結果を求めている人が多いから、今でもこういうフレーズ丸暗記型の本が、本屋さんの棚にたくさん置いてあるんだと思います。
とにかく、この頃の僕にとっては、この本に書いてあるやりとりのフレーズを「丸暗記」することが一番の目標になっていました。
・・・つづく。
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