from 師範代Shinya
(→前回のつづき)(→この記事のシリーズを1話目から読む)
※アベマTVの討論番組で、英語学習についての賛否両論を見て、僕が思ったことのシェアの続きです。
前回の記事では、英語学習はコスパが悪いというお話をしました。
・英語を一定レベルまで身に付けるまでに、ものすごい時間と労力がかかる。
・一度身に付けた英語力の維持にも、時間と労力がかかる。
・どんなにガンバっても、帰国子女には敵わない。
などなど、努力のコストに対して見合った結果を得られない、というのが「コスパの悪さ」を感じる原因です。
でも僕は、コスパが悪い中で続けるからこそ、見える世界があると思います。
日本人の英語学習あるあるパターン
僕ら日本人は、中学~高校の6年間で、英語の勉強を強制的にさせられます。
そして、この6年間で英語が身に付く人は、ほとんどいません。
テスト上で良い点が取れても、英会話が流ちょうにできるようになる学生は、ほとんどいないのが現実だと思います。
英語が話せる学生は、たいてい学校外で英会話スクールに通っていたり、留学経験があるのが普通です。
多くの日本人は、学校で「英語学習はコスパが悪い」ことを身をもって経験します。
そして、大人になると英語を避けるようになります。
やり直し英語学習を始める人自体が、少数派です。
コスパが悪いことは、みんなやりたがりません。
英語にコンプレックスを持っている人も多いです。
勇気を出して一歩を踏み出してやり直し英語を始めた人も、最初の1年ぐらいで、コスパの悪さを再実感します。
まず1年目で脱落する人が最も多いです。(僕自身も、最初の1年が経った時点で脱落しかけたので、気持ちがすごく分かります。)
さらにそこからもう1年続けられる人は、かなり少数派です。
僕が大手英会話スクールで講師として働いていた時の体感値としては、2年以内に半数以上の人達が、英語学習そのものをやめていく感じでした。
2年を過ぎても続けられる人は、たいてい3年目までは続けられることが多いです。
でも、そこからまた次のカベがやって来ます。
「3年も続けているのに、この程度か・・・」
と落胆する時期が来ます。
期待した結果と、実際の自分の現状のギャップに耐えられなくなってくるのです。
特に最初の3年間は、「投入した努力の量と、期待する結果」が釣り合わないことが多いからです。
初期のモチベーションの高い人ほど、理想と現実のギャップに苦しんで英語学習から離れていってしまいます。
そんなこんなで、3年を超えて4年、5年と続けられる人は、全体の2割以下といった感じです。
コスパの悪いことを続けた時に見えるもの
でも、そんな中でも続けたときには、見えてくるものがあります。
一番大きいのは、
「挫折を何度も乗り越えた経験から来る、静かな自信」
です。
挫折は、自分の期待と現実とのギャップで生まれます。
このギャップが、「コスパの悪さ」という表現につながっている気がします。
心理学の世界では、「人間が大人になると本気や全力を出さなくなるのは、自分の心を守るため」と言われています。
もし全力を出して、本気でガンバって、それでも望む結果が出なかったら、自分の力のなさを認めなければなりません。
それは、大人にとっては苦痛です。プライドが傷つくからです。
傷つくぐらいなら、最初から挑戦しないでいた方が良いのです。
たとえ一度挑戦しても、短期間で望む結果が出なければ、手を引いて他にもっとコスパの良いことに時間を使った方が良い、と考えるようになります。
そうすることで、自分の中に言い訳ができます。
「俺だって、本気でやればできるはずだ。ただ、やらない選択をしているだけだ。」
「もし、あの時やめずに続けていたら、私だってきっとできていただろうな。やめさえしなければ・・・」
というように、言い訳ができるのです。
この言い訳をするために、人間の大人は自分のできることの範囲内、予想できることの範囲内で生活をしようとします。
これはある意味、生命を守るために備わった本能らしいのですが、現代では命が脅かされるほどの危険な挑戦はほとんどありません。
ましてや、英語学習で望む結果が出なかったからといって、自分の命が脅かされることなど、ないでしょう。
でも、本能はそんなことお構いなしに、「やめとけ!」と言ってくるのです。
子供の脳内にはこの「やめとけ!」という声は聞こえないので、いつも全力でものごとに当たっていきます。
その結果、どんどん新しいことを吸収して、成長していくのです。
中学生になる13歳前後ぐらいまでは、全力を出すことをためらわないようにできているそうです。
13歳から先は、「やめとけリミッター」が発動し始めると聞いたことがあります。
よく、英語は子供の頃から学ぶと良いと言われるのは、単に脳みそが柔らかいからという理由だけではなく、子供は「やめとけリミッター」が発動しないためだと思います。
どんなにコスパが悪くても、そんなことお構いなしに毎回全力でぶつかっていく。
それが子供の強みです。
英語学習のようなコスパの悪いジャンルは、「やめとけリミッター」が発動しない子供のうちから始めた方が有利、というのも、うなずけます。
でも逆に、大人が本当の意味で自信を得るためには、この「やめとけリミッター」に挑戦する必要があるのです。
やめとけリミッターを外した先にあるもの
コスパが良いことだけを選んで「自分にできそうなことの範囲内だけ」で生きていくことは、ある意味「やめとけリミッター」が作動する範囲内で生き続けることになります。
でも、このリミッターに挑戦して、「傷ついてもいいから全力で時間とエネルギーを注ぐぞ!」と決めることで、自分の上限に挑戦することができます。
「これだけやったら、これだけのリターンがあるはずだ!」
という予想が立たない状態で英語学習を続けることは、本当に怖いことです。
でも、その先に見えるものは、新しいことに挑戦して挫折しなかった自分に対する、静かな自信だと思います。
僕たちが英語学習を通して本当に欲しいものは、この自信なのではないでしょうか?
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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自己紹介は、こちら
このブログを読んで、納得しました。自分に自信を持ちたいんだ!と。私は自分に自信がもてるものが無くて、何かやり遂げて、自信が持ちたい。それが英語だったんです。今はまだ、つらい事も沢山ありますが、続けた人だけに見える景色を見るために頑張ります。いつも素敵なブログありがとうございます。
Setsukoさん、ありがとうございます。
英語は、自信をつけるために取り組むには良いジャンルですよね。
習得に時間がかかるから続けられる人が少ない分、自分ができるようになると、希少な存在になれます。
それに何より、英語を話せるとカッコいいですからね!
ぜひSetsukoさんも、続けた人にしか見えない景色を見てみてください。
応援しています!