from 師範代Shinya
(→前回のつづき)(→この記事のシリーズを1話目から読む)
今回は、英単語Issueの中身の詳しいチェックをしていきます。
まずもくじを見ると、全部で5章になっています。
それぞれテーマが決まっていて、
①つくる責任・つかう責任
②海の豊かさ
③陸の豊かさ
④生態系の豊かさ
⑤気候変動
というように分かれています。
環境問題に詳しい人ならピンと来たかもしれません。
これは、国連が定めた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: 略してSDGs」をベースにしているそうです。
僕はこのSDGs(エスディージーズ)を知らなかったのですが、この本を読んだのをきっかけに詳しく調べてみました。
17の世界的目標と、その中に169の達成基準があるそうです。
この英単語Issueの本は、この17の世界的目標のうち、4つを取り上げています。(③陸の豊かさの中に、④生態系の豊かさも入るようです)
章の最後には、SDGsの実際の英語フレーズと日本語訳も載っています。
見開き1ユニット
作りは速読速聴英単語シリーズと同じく、見開きで1ユニットになっています。
左ページに英文、右ページに日本語訳があります。
ターゲット英単語は、速読速聴英単語シリーズは下の方にまとまっていますが、今回の英単語Issueの本では、左ページの右側にタテ長でまとまっています。
速読速聴英単語シリーズの場合は、本文中のターゲット英単語に色がついていますが、今回の英単語Issueの場合は、色がついていません。
これはおそらく、英文の内容に集中して読めるようにした狙いがあるのでは?と勝手に推測しています。
ターゲット英単語が色分けされていた場合、どうしても英文を読みながら英単語に気が向いてしまいます。
英単語Issueでは、あくまで話す内容にフォーカスを置いているので、あえて色分けをしなかったのでは?と思われます。
また、英単語の解説もあくまで日本語訳のみにとどめてあります。
速読速聴英単語シリーズのように、多義語や他の使い方例などは載っていません。
これもおそらく、「この文脈の中での使い方だけ覚えればOK」というメッセージだと思います。
英単語Issueというタイトルながらも、本文の中では英単語にそんなに注目させない、という作りが面白いですね。
読者に考えさせる質問の投げかけ
この本は、「日本人が英語で自分の意見を発信できるようになるためのテキスト」として作られました。
そのため、単に受け身で終わらせず、読者に自分の意見を考えさせる仕掛けが満載です。
まず、章の最初には、環境に対する一般常識を疑うような質問が日本語で投げかけられています。
たとえば、第一章なら、
「プラスチックの使用を減らすだけでいいの?」
といった、大きな文字があります。
そして本文には、スーパーでビニール袋が有料化したという身近な出来事をベースに、「本当にビニールやプラスチックの使用量を減らすことが、環境保護につながっているのか?」といった疑問が投げかけられています。
他にも、「ファスト・ファッション(ユニクロやしまむらなど、低価格で気軽に買って捨てられる服のジャンルの総称)を買うことが、実は環境汚染につながっているとしたら、どうしますか?」といった質問があります。
さらに、各ユニットの英文の方でも、この疑問を裏付けるデータが提示されます。
たとえば、
クイズ:世界で製造された衣料品のうち、毎年何%がゴミとして捨てられているでしょうか?
a.0.85%
b.8.5%
c.85%
(↑本文はすべて英語です)
という感じです。
ちなみに答えは何だと思いますか?
僕も初めて知ったのですが、なんと正解はCの85%だそうです。
作られた服の85%が毎年ゴミになる・・・これは想像以上の数字です。
僕は英語講師になる前はファスト・ファッション業界で店長をしていましたが、こんなにたくさんの服が毎年捨てられているとは知りませんでした。
ちなみに僕は、当時自分の店で買った服を、いまだに着ています。10年以上着ても破れたり色あせもありません。
ファスト・ファッションだからといって、持ちが悪いとも限らないようです。
またファッション業界は10年単位で再ブームが来るので、一時的に時代遅れになった服も、取っておくと10年後にまたトレンドに乗ることもできます。
こういった「読者に考えさせる英文」が載っているのが面白いところです。
さらに、それだけではありません!
左側の日本語訳ページの方にも、英会話に使えるフレーズが満載なのです。
次回、この「英会話役立ちフレーズ」を詳しく解説します。
・・・つづく。 (→この記事のシリーズを1話目から読む)
「英単語 Issue :環境編800」はこちら
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From 師範代Shinya(新村真也)
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