From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
タレントスクールの掲示板に頼らず、自力で自分を売り込むためにオーディション情報を探し始めた僕は、まず新聞の広告欄をチェックするようにしました。
当時はよく、新聞の広告欄に「○○オーディション開催!次のスターは誰だ?」みたいな募集が載っていました。
芸能事務所が「次のスター候補」を探すために、一般公募で数千人単位のオーディションを開催するケースが多かったのです。
ただ、ひとつ気をつけなければならないことがありました。
タレント養成スクールの広告
それは、僕が通っているような「タレント養成スクール」の広告にも「オーディション」という言葉がよく使われている、ということです。
オーディションというと、「厳しい審査員の目で選ばれたスター発掘イベント」というイメージがあります。
そしてオーディションに受かれば、すぐに事務所に所属して、マネージャーがついて、TVや映画の出演が決まって・・・みたいな流れが予想されます。
でも、タレント養成スクールのオーディションは、ただの「体験レッスン」です。
よっぽど変な態度を取らない限り、おそらく受ける人の9割以上が合格します。
なぜなら、タレント養成スクールでは、
「合格=入学=生徒として月謝を払う」
という仕組みだからです。生徒数を増やすことで売上をアップするビジネスである以上、当然オーディションの敷居は低くなります。
そして、タレント養成スクールに合格しても、デビューの確率が上がるわけではありません。
それは僕自身が、これまで1年半以上通い続けて分かったことでした。
おそらく、他のスクールに移っても状況は同じでしょう。
エキストラがほとんど
よくドラマのエンドロールを見ていると、最後の方にタレント養成スクールの名前が出てくるのに気付きます。
おそらくそのスクール生は、ドラマ内で重要な役をもらっているメインの役者さんたちではなく、「その他大勢」のエキストラ役での出演なのでしょう。
個人名ではなくスクール名で掲載されていることが、その証拠だと思います。
もし、街を歩いているエキストラの人達の名前までエンドロールで流したら、いつまでたっても終わらなくなってしまうでしょう。
そんな感じなので、とにかく僕が目を光らせていたのは、「タレント養成スクールの広告」と「本当のオーディションの広告」を見分けることでした。
でも、その視点で見てみると、改めて「本当のオーディションの広告」が少ないことに気付きました。
エキストラから抜擢される確率は?
そこで僕は、「エキストラから抜擢されて、役がもらえる」という流れを考えてみました。
①エキストラとして良い演技をする
↓↓↓
②現場の監督の目に止まる
↓↓↓
③「君、良い演技するねぇ~!試しにセリフをあげるから、次回のこのシーンに出てくれない?」と言われる。
↓↓↓
④もらったセリフを完璧にこなす。
↓↓↓
⑤「君は才能あるね!よし!次回制作のドラマでは、もっと重要な役で出てもらおうか!」と言われる。
↓↓↓
⑥脇役をこなすうちに人気が出て主役をもらえるようになり、スターへの階段を駆け上る。
みたいな流れです。さすがにこんなにスムーズにいかなくても、少なくとも芸能界に食い込むきっかけを作れるのか?
エキストラの仕事をし続けることで、チャンスにつながるのか?その可能性を探りたいと思いました。
僕はその疑問の答えを見つけるために、再びスクールの掲示板をチェックし始めました。
たしかに、毎週のようにエキストラの仕事の募集告知はありました。
ドラマの撮影は通行人が少ない時間帯を狙っているためか、エキストラの募集時間帯は「平日の早朝」が多くて、「朝4時集合で夕方4時まで拘束」とかが普通でした。
時間帯や曜日で、地方在住の僕にとってはかなり不利な条件ばかりでした。
T君とSさんの体験談
そこで僕は、同じクラスで仲の良いT君とSさんの情報を頼りにすることにしました。
T君とSさんと僕はいつも一緒に帰ることが多くて、僕ら3人とも同じぐらいの情熱を持っていました。
T君とSさんも僕と同じように「スクールに頼らず自力でデビューする道を探る!」と決めていました。
そして自分たちが個人でデビューに向けて行動して体験したことや、新しくゲットした情報をお互いに共有することにしていました。
T君とSさんは、それまで興味のなかったエキストラの仕事に積極的に応募するようになりました。
T君もSさんも東京のすぐ隣の県に住んでいて、仕事もバイトで融通がきくので、本気でエキストラの仕事を受けまくろうと思えば、できる状態でした。
僕はそんなT君とSさんがうらやましい反面、体験談を共有してもらえることをありがたく思いました。
そして、僕はT君とSさんを通じて「エキストラの仕事の現実」を知らされることになりました。
・・・つづく。
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