From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
僕はクラスメイトとT君と、歌のレッスンのM先生(ミュージカル舞台女優)をご飯に誘う計画を立てました。
このタレント養成スクールには、「先生は生徒とプライベートで会ってはならない」という鉄の掟があります。
僕らは今まで何人かの先生たちをご飯に誘ってみましたが、全員断られました。
廊下など他の人に聞かれるリスクがある場所で誘ったら、おそらくM先生も同じリアクションになるでしょう。
でも、レッスンルームの中なら、僕らの会話は誰にも聞こえません。
幸い、僕とT君以外のクラスメイトは全員フェードアウトしてレッスンに来なくなってしまったため、毎回のレッスンはM先生と僕ら2人だけの空間でした。
いよいよ決行日!
よし!今日が決行日だ!と決めてからは、僕とT君はレッスン中にドキドキしていました。
もしレッスン中に雑談できる雰囲気になれば、そこで誘ってみようと思いました。
でも、なかなかタイミングがつかめませんでした。
僕らはふだんのレッスン中にM先生に雑談を振ることはありませんでした。
なのに今日だけいきなり雑談しようとするのは、不自然さが出てしまいます。
T君も同じように感じているみたいでした。
作戦実行!
レッスンが終わりました。
「ありがとうございましたー!」
僕とT君はM先生にあいさつした後に、お互いにアイコンタクトを取ってから同時に切り出しました。
僕:「M先生、実はお願いがあるんですが・・・」
M先生:「あら?どうしたの?」
僕:「T君と僕は毎週、このレッスンが終わった後に一緒にご飯を食に行ってるんです。」
M先生:「まあ!楽しそうね!」
T君:「僕らはご飯を食べながら、お互いの夢や目標を語り合ってます。」
M先生:「いいわね!青春ね!ウフッ!」
僕:「あの・・・こんど良かったらM先生も一緒にご飯に行きませんか?M先生が来てくれたら、めっちゃ嬉しいです!!!」
T君:「めっっちゃ嬉しいです!!!」
僕:「M先生ともっと色々お話ししてみたいんです!!」
T君:「お願いします!!」
僕らは深々と頭を下げて、M先生の返答を待ちました。
しばらく沈黙が続いた後、M先生が口を開きました。
M先生:「いいわよ!楽しそうね!」
僕:「おぉ!!マジっすか!!やったーーーー!!」
T君:「やったーーーーー!!」
M先生:「うふふ、じゃあ、来週のレッスンが終わった後にしましょうか?」
僕:「はい!お願いします!!」
T君:「お願いします!!」
M先生:「でもね、このスクールの決まりでは先生は生徒たちとスクールの外で会っちゃいけないことになってるの。だから、ここからあなた達と一緒にお店には行けないわ。」
僕:「分かりました。そしたら、事前にM先生にお店の名前を伝えておけばいいですか?」
M先生:「そうね。シンヤ君とT君が先にお店に行って席を取っておいてくれる?その後、私が行くようにするから。たまたま私がご飯を食べに行ったお店に、あなた達がいたってことにすれば、問題ないわ。」
僕:「そうですね!僕らが勝手にM先生を見つけて席を移動してきたってことにすれば、万が一誰かに見られても大丈夫ですよね。」
M先生:「うふふ、何だかスパイ映画みたいね。」
僕&T君:「ですね!!」
中華屋さんのメリット
僕:「M先生は、中華はお好きですか?」
M先生:「中華?大好き!」
僕:「良かった!実はこのスクールから駅までの通り道に、僕とT君がよく行く中華屋さんがあるんです。
僕はそのお店に2年ぐらい前から通っているんですが、すごくおいしいんです!
しかも、このスクールの生徒や先生が来るのを今まで一度も見たことはありません。
このあたりのお店の中では、かなり安全かと思います。」
M先生:「まあ!それは良いわね!じゃあ、その中華屋さんにしましょ!」
僕:「分かりました!じゃあ、来週のレッスン後に!楽しみにしています!」
T君:「楽しみにしています!」
M先生:「うふふ、ありがとう!私も楽しみよ!」
祝杯
レッスンが終わると、僕とT君はウキウキしながらスクールを出ました。
そして、いつもの中華屋さんに行って成功を祝いました。
T君:「いや~!言ってみるもんだね!!」
僕:「ホントだよ!ダメ元だったけど、以外にすんなり行ったね!」
T君:「やっぱりM先生は、他の先生とは違うんだよなぁ~」
僕:「上品だけど、お堅い感じじゃないしね。」
T君:「いや~それにしても、あのM先生とスクールの外で会えるとは!しかも、このお店で俺たちの隣に座って一緒にご飯を食べるなんて・・・信じられん!」
僕:「楽しみすぎて眠れなさそう!」
T君:「眠れないね!!」
僕:「今まで色んな先生たちに断られてきたけど、M先生からOKもらったから、全部チャラになった感じがする」
T君:「そうだね!他の先生たちより、M先生の方が断然嬉しい!」
僕とT君は、何度もトライしてきた作戦がついにうまくいったことに、祝杯をあげました。
・・・つづく。
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