From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「ジャパンアクションクラブ」という団体のオーディションを受けた時のストーリーの続きです。
東京でオーディションを受けてから、静岡の家に帰ってくると、翌日からまたいつもの日常生活が始まりました。
いつものように、どんよりした気分で仕事に行き、親方に怒鳴られる日々が続きました。
僕の中では、ジャパンアクションクラブのオーディションを受けたことが夢だったのではないか?と思えてきました。
オーディション結果
2週間ぐらいたったある日のこと。ジャパンアクションクラブから、1通の封筒が届きました。
その封筒を見たとき、「あれは夢ではなかった!現実なんだ!」と思わせてくれました。
中を開けると、紙が何枚か出てきました。
1枚目には、「合格」と大きな文字が書かれていました。
「やったーーーーーーーーーー!!!」
僕は思わず叫んでしまいました!!
これで俺の人生は変わる!!
鉄工場で毎日機械の前で同じ作業を繰り返す今の日常から、キラキラしたアクションスターへの道が一気に開けたような気分になりました。
僕はウキウキしながら、手紙を読み進めました。
その先の内容は、具体的なレッスンスケジュールや、入学金、月謝などの詳細が書かれていました。
衝撃の金額
僕は入学金を含めて一番最初にかかる金額を見て驚きました!
合計60万円
え??60万円??6万円じゃなくて??
よく見ると、入学金に加えて、身体を使うので傷害保険やら何やら他の経費もかかっていて、トータルでこの金額になっているようでした。
さらに、月謝はコースレベルによって変わるようですが、3万円~5万円でした。
僕は、目が点になりました。
今振り返ると、この金額は「まあまあ、そんなもんかな」と思えます。
大手の英会話スクールに入学すると、最初の時点で20~30万円のお金がかかることが多いです。
月謝は一番安くて1万円からで、コースのレベルや通う頻度が上がると、月2万円~5万円ぐらいするのが相場です。
そう考えると、ジャパンアクションクラブのこの金額は、決して「ボッタクリ価格」とは言えません。
でも、当時20才だった僕の中での金銭感覚はまったく違いました。
2年前の高校生の頃は、時給630円でモスバーガーでバイトをしていました。
卒業後に鉄工場に就職して、正社員としてもらっていた給料は、手取りで月に13万円ほどでした。
ちょっと前まで通っていた空手道場の月謝は5,000円でした。入会金も5,000円ぐらいでした。
僕がそれまで生きてきた経験値の中では、金銭感覚がこのぐらいの幅になっていたのです。
だから、今回のジャパンアクションクラブの月謝や入会金も、なんとなく空手道場と同じぐらいだろうと思っていました。
ところが、いきなり100倍以上の「60万円」という数字を見せられたのです!
僕は、驚きで何度も見返して、「読み間違えではないか?」と、ゼロを数えました。
でも、やっぱり初期費用は60万円でした。
コスト計算
その後、レッスンスケジュールを確認してみると、週に5日間の練習が義務づけられていました。
1日のトレーニング時間は、3~4時間ほどでした。
僕が通っていた空手道場の稽古が1時間半ぐらいだったので、その倍以上です。
トレーニング時間の基準も、僕の中にあったものとは大きく違いました。
東京に引っ越して転職したとしても、正社員の仕事スケジュールでは、すべてのレッスンに参加するのはかなり難しそうです。
時間の自由がききやすいアルバイトに切り替えるしかありません。
・引っ越しの費用
・入学初期費用60万円
・月謝3~5万円
・家賃
・食費
・社会保険料
これらをすべて払うとなると、いったいいくら必要なんだ?
最初の費用だけ何とか支払えたとしても、その後の月額コストをバイト代でまかなえるのか?
と考えていたら、だんだん暗い気持ちになってきました。
自力で進む
ちなみに、こういう時に親にお金を出してもらう人も多いと思います。
でも僕は、親との間である「取り決め」をしていました。
「高校卒業後の進路には一切口出ししない代わりに、経済的援助を受けない」
という約束です。
今回のアクションの世界への挑戦も、親から反対はされませんでしたが、「やりたいことに向かうのは応援するけど、お金の援助はできない」という感じでした。
家計的に援助する余裕がないというのもありましたが、僕自身も自分の価値観として、「高校を卒業したら、自力でやりたいことを自由にやっていきたい!」という気持ちがありました。
そんなつもりでいたので、これだけの初期費用がかかると分かり、アクションクラブへの道が一気に遠いものに見えてきました。
1通の手紙で、一気に天国から地獄へ突き落とされたような気分でした。
・・・つづく。
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