From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
ストリートダンスクラスの先生(ダパンプのイッサ似)の初回のクラスは、僕にとって衝撃的でした。
今まで見たことがない不思議な動きを繰り出すイッサ先生は、僕の目には同じ人間には見えませんでした。
音楽なしでゆっくり動きながら教える「振り付けパート」が終わりました。
そして次は、実際の音楽に合わせて動くパートに入りました。
イッサ先生がCDプレイヤーの再生ボタンを押しました。
すると、今まで僕が聞いたことがないようなカッコいい音楽が部屋中に鳴り響きました。
なんだ?この音楽??めちゃくちゃ速い!!
その音楽は、今まで僕が聞いたどの音楽よりもスピードが速く感じました。
1,2,3,4…とカウントを取った時のリズムが速いのです。
このスピードに合わせてさっきの振り付けを踊るの?
どういうこと??
すると、イッサ先生がお手本を見せ始めました。
さっきまでゆっくり動いていたイッサ先生が、目にも止まらぬスピードで動き始めました。
うぉっ!速い!!!
ゆっくり動くと3分ぐらいかかる振り付けを、わずか30秒ぐらいで踊り終わってしまいました。
僕と他のクラスメイト達は、ポカンと口を開けていました。
す、スゴすぎる!!
僕は、自分の背筋がゾクゾクするほど引き込まれるのを感じました。
僕は以前、一度だけ「ヒップホップダンス」のレッスンを受けたことがありました。
このスクールの「夏期集中5日間ゼミ」でヒップホップダンスのコースを取ってみたのです。
でも、その時のヒップホップダンスレッスンの先生の動きとはまったく違っていました。
そもそも使う音楽の雰囲気もまったく違うし、動きの感じも全然違います。
「これがストリートダンスってやつか!なんてカッコいいんだ!」
イッサ先生の初回のレッスンはあっという間に終わった感覚でした。
僕はその日から、イッサ先生の超人的な動きが目に焼き付いて離れなくなりました。
みんなのハートをわしづかみ!
イッサ先生は、初回からみんなのハートをわしづかみにしました。
見た目のカッコ良さとダンスのうまさ、そしてひと言もしゃべらないクールさが、女性たちをときめかせていました。
僕ら男から見ても、憧れるカッコ良さを持っていました。
初回のレッスンが終わった後、僕らはざわつきました。
「あの先生、超カッコ良くない?」
「ダパンプのイッサに似てるよね?」
「マジ憧れる!」
「あれは反則だよ!カッコ良すぎだぁ~!」
などなど、男女ともに賞賛の声が上がりました。
レッスン後はいつものようにT君とSさんと僕の3人で一緒にご飯を食べに行きましたが、話題はイッサ先生のレッスンで持ちきりでした。
T君:「あの先生のダンスってなんていうスタイルなんだろう?」
Sさん:「ヤバいよね!カッコ良すぎ!」
僕:「俺、夏にヒップホップダンスのレッスン受けたんだけど、今回のは全然違ってた!使う音楽も違うし、動きのスピードも違う。そもそも動きの種類が違う気がするんだよね。」
T君:「こんど先生に聞いてみようよ?あの音楽めっちゃカッコいいし!」
Sさん:「ホント!カッコいい!てかあの先生イケメン過ぎるんだけど~!」
僕:「いや~本当、俺が今まで見てきた同年代の男の中で、ダントツ一番でカッコいいよ。あんな風に踊れるようになれたら嬉しいなぁ~!」
T君:「俺、ストリートダンスに興味が出てきた!ちょっと色々勉強してみるかな!」
僕:「俺も!ストリートダンスができるようになりたい!今日みたいなカッコいい音楽に合わせて踊れるようになりたい!」
Sさん:「いいじゃん!ガンバってよ!私は自分が踊るなら、前のクラスのジャズの先生の振り付けの方がいいな。今回のイケメン先生の振り付けは男っぽ過ぎるんだよね。」
T君:「それはある!たしかに男っぽいよね。」
僕:「パンチとかキックっぽい動きもあるしさ、なんか俺が練習してきた格闘アクションの動きにも似ているんだよね。そこがまたカッコいい!」
僕ら3人は、その日も終電ギリギリまで語り合ってから解散しました。
帰りの新幹線の中でも、僕の頭の中はずっと興奮していました。脳内でイッサ先生の動きが何度も再生されていました。
鳥肌が立つほどカッコいい音楽も、耳から離れませんでした。
この衝撃は、小学生の頃に初めて「ジャッキー・チェンのカンフー映画」を見たときと同じかそれ以上でした。
アクション俳優への道をあきらめつつあったこの頃の僕にとって、演技のレッスン以外で熱くなれる対象を見つけることができたのは、嬉しい出来事でした。
でも、自分がここでストリートダンスにハマって、その後13年間も学び続けることになるとは・・・
ダンスを通じてその後の人間関係が大きく変わることになるとは・・・
この時にはまったく予想していませんでした。
・・・つづく。
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