【僕が「習い事」に感じた夢と希望:ダンス編77】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)

 

※僕が24才の時に始めたHIPHOPダンススクールの体験談の続きです。

O君は基本ステップの名前や動きをほとんど知らない状態でした。

本来ならば、基本ステップの練習から始めて、じっくり1つずつ動きを覚えていくのがベストです。

でも今回は、時間がありません。

たった3週間で基本ステップを身に付けて、さらに応用編にあたる振りまで覚えるなんて、いくら頭の良いO君でもムリがあるでしょう。

僕とY君が年単位で身に付けてきたステップや動きを、初心者のO君がカンペキにできるようになることを期待するのは、現実的ではありません。

そこで僕は、O君の細かい動きの精度は捨てることにしました。

そして、とにかく「全体像の振りを合わせる」ことに集中しました。

素人目に見て、チームとして息が合っていないように見える時は、次の2点です。

↓↓↓

①振りを間違えて、一人だけ違う動きをしてしまった時。

②同じ動きをしているのに、リズムが合っていない時。

特に②は、目立ちやすいです。

①は、うまくごまかせば、「これは、わざとズラしたのかな?」「これも振りの一部か?」と思わせることができます。

顔が「しまった!」という表情をしたり、うつむいたりしなければ、間違えたことはバレません。

でも、②のリズムだけはごまかせません。

素人目にも、「この人、間違えたのかな?」と映るからです。

 

リズムがズレると、ミスがバレやすい

ダンスでは、わざとリズムを外して音に合わせない、みたいな動きはほとんどありません。

もちろん、超高度なダンサーになれば、あえてリズム外しを入れることもあるかもしれません。

でも、それは明らかに動きがキレッキレで、音楽もリズムが変化するような高度なものを使っている場合の話です。

素人目には、リズムがビシッ!と合っている方が、キレイに見えます。

だからこそ、とりあえずリズムを合わせることだけに集中すれば、経験値の差はごまかせるのです。

僕は、そのことをまずO君に伝えました。

飲み込みの早いO君は、すぐに理解してくれました。

O君:「分かりました。じゃあ、俺が自主練する時にはとにかく、曲のリズムを合わせることに意識を集中させます。」

僕:「うん!リズムさえ合えば、パッと見では3人チームがまとまって同じスキルレベルのように見えるはず。

よし!じゃあ、今日は振り付けに全集中しよう。今日中に1曲分全部覚えるつもりで。」

O君:「分かりました。覚えますよ!」

 

振りの丸暗記型

僕は、とにかくO君に振り写しをすることだけに専念しました。

細かいステップの動きの違いなどは一切指摘せずに、振りの順番だけをO君に伝えました。

「ここで両手を伸ばして、一拍おいてから手を素早く引く。」

「右足を前に出したら、間髪入れずにすぐ左足を出す。」

というように、表面的なアドバイスのみにとどめました。

そして、O君は次々と振りを吸収していきました。

 

駆け込み需要

この時に僕がO君に対して行ったダンス練習は、英会話で言うと、「駆け込み需要」に対するトレーニング法と似ています。

僕が英会話スクールの講師をしていた頃、

「来月、家族で海外旅行に行くんですが、今から何をやればいいでしょうか?」

といったような、ギリギリでガンバりたい人の駆け込み需要が、たまにありました。

さらに駆け込み要素が強い例としては、10代後半から20台前半の人達が、

「2ヶ月後に海外留学するんですが、英語力に自信がありません。今からできることは何でしょうか?」

といった形で、超駆け込みでやって来ることもありました。

英語が得意だから留学するのではなく、英語は苦手だけど留学したいから行く!という人もけっこう多い印象です。

留学生の中には、

「英語には自信がないけど、とりあえず留学して現地に行っちゃえば、何とかなるはず!」

と思っている人は、けっこう多い印象です。

 

付け焼き刃の方が役立つ

英語を教える側としての本音は、

「こんなギリギリに来られても・・・もっと早く始めないと!」

と言いたいところです。

でも、もう現実に期限が迫っている状態で、そんな根性論を言っても仕方ありません。

今できるベストを尽くすだけです。

海外旅行でも、留学でも、時間がない中で一番役立つ練習法は1つだけです。

それは、「フレーズ丸暗記型の練習」です。

文法や細かい英単語の意味は無視して、

「フレーズを丸ごと音だけで覚える」

のが良いのです。

たとえば、お店に入って、

・May I help you?

(メイアイヘルプユ~?)

と店員さんに言われたら、

・No,thank you. I’m just looking.

(ノーサンキュー。アイムジャスルッキン)

と答える。この一問一答の練習を、ひたすら繰り返すのです。

この時には、

「I’m just looking.の文型は現在進行形」

「look と see の違いは何か?」

などといったことは、一切考える必要はありません。

ただひたすら、「こう来られたら、こう返す」というパターンを呪文のように覚えるだけです。

こっちの方が短期間では効果があります。

もちろん、この方式ではフリートークは一切できません。

自分の言葉で話せるようになるには、文法学習と瞬間英作文トレーニングが必要です。

でも、たとえフリートークができなくても、海外での買い物や外食がスムーズにできれば、とりあえず生活には困りません。

まずは「自分の話す英語が通じる体験」をしてみることが重要です。

そこでモチベーションが上がって、「もっと会話を楽しみたい!」と思ったら、次のステップに進めば良いのです。

それまで興味のなかった文法や瞬間英作文トレーニングにも、興味が出てくるかもしれません。

 

ダンス初心者にはフレーズ丸暗記型

ダンス初心者に対しても同じように、まずは振りだけを丸写しして、フレーズ丸暗記型の練習をしてもらいます。

そして、いきなり試合の場に連れ出すのです。

・観客から注目される中で、緊張しながら踊っている時の興奮

・終わった後にたくさんの拍手をもらえた時の高揚感

これらを最初の頃に味わうと、モチベーションが上がります。

そして、日々の地味な基礎ステップ練習もやろう!と思えるようになるのです。

当時の僕は、ダンス初心者のO君に対して、「いきなりステージに連れて行ってデビューする作戦」を実行しました。

・・・つづく。

 

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